
どうも、ド田舎介護士の森まる(@820life)です!
以前、『介護士は意外とワークライフバランスを保てる働き方』というお話しをしましたが、退職金のことも考えてみました。
わたしの勤務する社会福祉法人は2つの退職金共済団体に加入しています。
他の介護施設で働く友人や、見学に行った施設での説明を聞いていると、職員の待遇を考えている法人はこの「退職金2本立て」で運営しているところが多いことがわかりました。
① 各都道府県の社会福祉事業職員共済会
② 独立行政法人 福祉医療機構 (WAM)
※会社・施設により異なるけど主流はこの2つ
老後の資金が2000万円不足するという金融庁の発表もあり、自分の将来の生活資金も考えながら生きていく必要がある時代。
定年退職まで現場は体力的になかなか難しい面もありますが、途中で自己都合で退職した場合もまとまった額を支払ってもらえます。
額はもちろん少ないですが、最短1年以上(厳密には共済の加入期間が1年以上)あれば、退職金の受取り可能。さらに別の施設に転職しても、そこが同じ団体に加入していれば共済資格を引き継いでいくことも可能です。
なので、これからも介護職を長く続けていきたい方や、転職先を探している方は目先の給料だけではなく、退職金をしっかりと支払ってくれる社会福祉法人を選ぶべきだと思って今回記事にしました。
実際に辞めてもらえたお金の話はコチラ
介護施設を辞めたら624,862円もらえました【勤務期間20カ月の退職金と失業保険】
Contents
そもそも退職金はなくても違法ではない
まずお伝えしたいのが、会社は退職金を支払わなくても法律的には何の問題もないということです。
退職金(退職手当てとも言う)はあくまで、従業員の福利厚生の充実のためのものであり、「なるべく長く働いてね」という、言わば善意の仕組みなのです。
実際、過去に2年ちょっと勤めていた小規模なサ高住では、退職時に退職金はありませんでした。まったくのゼロ。
会社の就業規則には「勤続3年を超えた時点で退職金共済に加入」とありました。なので当然といえば当然なんですが、やはり寂しいですよね。
反対に、転職先の社会福祉法人は入職1カ月目から、さきほどお話しした2つの退職金共済に加入させてくれました。ホワイトですよね~。
同じ働くなら少しでも良い条件で働きたいですよね。あなたが現在働いている施設はどうでしょうか?
体の不調や、人間関係の問題で同じ職場で働くことがキツくなったときに、ある程度まとまったお金を頂けるかどうかで精神的な余裕に違いが出てきます。
自分の施設がどのような仕組みを持っているのか、一度就業規則を読み込んで確認してみることをおすすめします。
2つの退職金制度について
さて、前置きが長くなりましたが、2つの退職金制度について解説していきますね。
① 各都道府県の社会福祉事業職員共済会
② 独立行政法人 福祉医療機構 (WAM)
少し複雑なので、2つの退職金共済が登場することを覚えておいてください。順番に説明します。
①各都道府県の社会福祉事業職員共済会
各都道府県にある、おもに社会福祉施設を対象にした共済組織。
事業のひとつとして、退職金制度を運営しています。掛け金を職員と法人が分担する必要もあり、私の場合は大体月に3千円ちょい引かれてます。
ネットで『社会福祉事業職員共済会 地域名』で検索するとさらに詳しい情報へアクセスできます。
後半、例に出す岩手県の社会福祉事業団の金額の半分しか私の地域の事業団では支払われませんでした。
②独立行政法人 福祉医療機構 (WAM)
福祉医療機構とは、全国の社会福祉施設の運営をサポートする独立行政法人です。
様々な事業のひとつとして退職金制度を提供。
注意点は、①社会福祉事業職員共済に加入していても、この②福祉医療機構(WAM)の方は未加入の場合もあります。なので求職時は要チェック。
掛け金は会社が100%支払うので、職員は負担なく退職金がもらえるというありがたい制度。国の補助金も入ってます。
職員の確保のために福利厚生が重要であることは間違いなく、実際にWAMに加入している施設の数は増加傾向です。
機構によると、福祉施設を運営する社会福祉法人のうち約90%が加入しているそうです。
今後の増額もあり得るので、その時に「自分の勤める法人がどうするのか」も含めて頭の隅にいれておきましょう。
では、実際いくら退職金を受け取れるのか?
ややこしい話はこれぐらいにして、こっからは「実際にいくらもらえるのか?」についてです。
冒頭でもお話ししましたが、現実問題として介護の現場で定年まで働くということはなかなか難しいですよね。
介護労働安定センターの資料によると、介護関連職の平均勤続年数は5.6年とのこと。

平成30年8月3日公表から抜粋(※PDF)
生活相談員やケアマネは平均で7年を超えていて、やはり現場の職員は離職までが短いということがわかります。
それではいよいよ、勤続年数ごとにざっくりとシミュレーションしていこうと思います。
・基本給はすべて17万円で計算(各種手当は抜き)
・岩手県の退職共済に加入(オンラインで計算可能なので)
・自己都合で退職
・期間中に休職は無し
福祉医療機構(WAM)の退職金計算ツールはコチラ
岩手県の社会福祉事業団退職金計算ツールはコチラ
岩手県の社会福祉事業団の金額の半分しか私の地域の事業団では支払われませんでした。
もしかしたら岩手県の事業団は高額な方なのかもしれません。
なので、お住まいの地域の社会福祉事業団で詳しくは確認してください。
私が実際に辞めてもらえたお金の金額についてはコチラ
介護施設を辞めたら624,862円もらえました【勤務期間20カ月の退職金と失業保険】
岩手県の社会福祉法人で1年勤務して退職した場合、
①県の退職金=83,100円
②WAM=83,520円
①+②=166,620円
とりあえず1年頑張ればこれだけもらえるなんて、ありがたや。
①県の退職金=249,200円
②WAM=250,560円
①+②=499,760円
そろそろ辞めたくなってくる3年で50万弱。
①県の退職金= 415,200円
②WAM=417,600円
①+②=832,800円
現場の介護士の平均勤続年数で80万越え。
①県の退職金= 581,300円
②WAM= 584,640円
①+②=1,165,940円
ケアマネさん、サービス提供責任者の平均勤続年数で100万越え。
①県の退職金=913,500 円
②WAM= 835,200 円
①+②=1,748,700円
10年頑張ればちょっとぜいたくな放浪の旅、1年分もらえます。
①県の退職金= 2,159,100 円
②WAM= 3,271,200 円
①+②=5,430,300 円
もはやほとんど見たことない20年選手になると500万オーバーです。ちなみに介護職員の2.5%が20年以上とのこと。
①県の退職金= 4,235,100 円
②WAM= 5,776,800 円
①+②=10,011,900 円
ほぼ終身雇用。30年勤めあげると1000万に到達。
①県の退職金= 5,646,800 円
②WAM= 7,447,200 円
①+②=13,094,000 円
正真正銘の終身雇用。しっかりとした社会福祉法人で一筋に勤めあげれば1300万円いただいて退職です。
ということで、うまく昇給していき定年前には基本給が30万円あったと仮定すると、、
①県の退職金= 9,890,000 円
②WAM=13,963,500 円
①+②=23,853,500 円
となり、めでたく老後資金2000万円を退職金でまかなえる計算(皮算用)になります。
あくまで仮定の話ですが、この退職金の額は大企業や国家公務員と同じレベル。そう考えると介護一筋で定年までというのもありっちゃ、あり。体が追い付けば…ですが。
長く勤めるなら退職金2本立ての社会福祉法人を探そう
実際にシミュレーションしてきましたが、感想はどうでしょうか?
正直、こんなにもらえるん?というのが私の意見。
とはいえ、これから30年現場に居続けるというのは想像もできないし、社会の状況も変わっているので、退職金の額も変わっている可能性もあります。
それでも、5年ぐらいならこの先も現場に居るかもしれませんよね。どっちみち同じ介護職をしていくならよりよい待遇の施設を見つけたい。
仕事はお金だけではないですが、職員の福利厚生をしっかりと考えてくれている社会福祉法人が働きやすいと経験上思います。
今後転職活動される際などは、「この会社の退職金制度どうなってるかな?」という点もチェックしてはどうでしょうか。
その際に便利なのが介護業界に特化した転職エージェント。
今回のテーマのような退職金について、なかなか面接時にこちらから詳しく聞くのも気が引けますよね。
そういう時に間に入ってこちらの聞きたいことや要望を通してくれるので転職活動の時に頼りになります。
ということで、今回は長く勤めるなら社会福祉事業職員共済と福祉医療機構(WAM)に加入している社会福祉法人がおすすめですよ、というお話しでした。
福祉医療機構(WAM)では試算がオンラインで簡単にできます。
>>>WAM 退職金シミュレーションへ
また、各都道府県によって退職金の額が異なるので、正確に知りたい方はお住まいの地域の団体のサイトから調べてください。



