
介護施設と言ってもいろんな施設がありますよね。
特別養護老人ホーム
有料老人ホーム
グループホーム
サ高住…などなど。
同じ介護士でも形態の異なる施設について、実はよく知らないってこともよくある話。
また、現在のキャリアからワンステップ先に行くために転職を検討する時にも、その施設ではどんな経験が積むことができるのか?というのも大切な点です。
そこで今回は、リハビリを行って在宅復帰を目指す介護老人保健施設(老健)で働くとどんなメリット・経験を積むことができるのか、を説明します。
Contents
利用者さんの身体機能の向上を支援し、ともに喜びあえる。
老健には理学療法士や作業療法士などが配置されており、専門的な見地からADLの向上に必要な訓練・リハビリメニューを作成して利用者さんに行って頂きます。
施設・利用者さんによって差はあると思いますが、私の勤務する老健では専門職による個別のリハビリが毎日のようにあります。
さらに、介護士もリハビリを支援するようケアプランが作成されていて、日々の生活の中にリハビリが組み込まれています。
たとえば、
「A様 トイレ誘導時に手すりを持って10秒の立位保持をしていただく」とか、
「B様 普段は車いすで過ごされるが、昼食後に居室で休んでいただく時は歩行器を使用して戻る」
という感じ。
自宅に戻って生活ができるように目標を立てて支援していくので、利用者さんもやる気があるし、支援する介護士もどんどんできるようになっていく姿を見てやりがいを感じます。
先月は車いすに移乗するのもやっとだった方が、今はなんとかシルバーカーでトイレまで行けるようになった!!なんてことが普通に起こる世界なんですよね。
めでたく自宅に戻ることになった方とは、笑顔でお別れを言えるのも老健ならではです。
もちろん、すべてのケースでそのように順調にいくわけではありません。
そのあたりについては、老健の役割【理想と現実】にまとめました。
老健の役割【理想と現実】
見守り力がアップする
出来ないことをできるように支援していくので、そこには当然リスクもあります。
例を挙げれば、トイレでの立った状態をキープするリハビリを行っても、昨日はできても今日はできないこともあります。

これちょっと危ないかも…
その微妙な変化に気が付かずに気を抜いてしてしまうと、転倒させてしまうことも。
ほかにも、車イスから歩行器に変えた方の場合。
安全に移動できるようになるまでは、常に付き添いが必要になります。
しかし、その方に付きっきりというワケにもいかないので着席されていれば離れて作業することもあります。
その間も常に、「あの人は座っているか?」という見守りを行います。
「ガタッ」と椅子が動く音でもしようものなら即座に体が勝手に反応するようになりますw
PCで記録中もチラチラとフロアを見渡し、利用者さんの傾向から「そろそろ立ち上がってトイレに行きそう」なんてのも予測したりして事故の防止にとにかく神経質になります。
そのせいで(おかげで)見守り力は間違いなくアップします。
事故を防ぐために環境の整備に気を配るようになれる
とはいえ、見守りと危険予測がしっかりできていてもどうにもできない場面もぶっちゃけありますよね。
特に夜勤の時なんかはワンオペで同時にセンサーの反応があったりしたら、どうにもできません。
その時でも、なるべく事故の可能性を減らせるように利用者さんのタイプに合わせてL字のベッド柵を開けたり、閉めたり、
家具をうまく配置して伝い歩きできるようにしたり、
ベッドから立つと自然と歩行器を手でつかめる位置に置いておいたり、
車イスにスムーズに乗り移れるように置いておくようにしたり…
とにかく身体拘束に厳しい時代なので、環境整備で事故のリスクを抑える工夫がされています。
そんなの当たり前にやってるよ!って声も聞こえてきそうですが、私がサ高住から老健に転職して一番勉強になったポイントがこの環境作りでした。
また、事故防止の工夫をリハビリ職の見解を取り入れつつ考えられるのも勉強になります。
老健は夜勤時も看護師が常駐しているので心強い
様々な工夫をもってしても転倒などの事故が発生したとしても、老健では夜間も看護師が常駐しているのですぐに相談・指示を仰ぐことができます。
夜間の電話連絡(オンコール)はやはり気を遣ってしまうのが人情なので、この点は老健の非常に良い点。
転倒などの事故だけでなく、急変時にもすぐさま対応を依頼できるので夜勤時の安心感は他の施設サービスより格段に高いと思います。
この一点だけでも、老健で働くメリットと考える方も多いんじゃないでしょうか?
老健は多職種が連携する介護の王道みたいな施設
病院から退院したばかりで身体・精神ともに不安定な状態の方がいたり、出来ないことをできるように支援するがゆえのリスクもあったりして、しんどさもある老健。
ですが、理学療法士や作業療法士の専門的な見方を勉強できたり、夜間も看護師が常駐しているという安心感があります。
さらに栄養士やケアマネ、相談員など様々な職種が協力して利用者さんの在宅復帰をサポートしています。
その意味で老健は介護の王道のような施設だと私は思います。
介護職のキャリアとして経験しておいて損はない施設サービスです。
ただ、現実として特養の空き待ちになっている面もありますし、多職種ゆえのつきあいの難しさもあります。そのあたりについては、老健の役割【理想と現実】にまとめました。
老健の役割【理想と現実】
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