
介護施設でのワンオペ(1人)夜勤には対人関係から解放されるというメリットもありますが、休憩がしっかりと取れない問題もありますよね。

以前記事にしてからも、「この労働環境はおかしい」という思いが消えなかったので労働基準監督署に相談してきました。
相談した内容は以下の通り。
・一人(ワンオペ)夜勤である
・休憩が取れるように交代に来てくれる職員はいない
・記録上は休憩を2時間取っていることになっている
・時間が空いた時はYoutube見たりはできる
以上の内容を企業名を伏せて相談しました。
アポも無しでふらっと訪れて面談して頂いたのですが、意外に真剣に話を聞いてくれました。
そして、結論は「現在の夜勤の体制は違法状態」であることが確認できました。また、本気で改善を望むなら指導にも行くという心強い言葉もいただきました。
さらに客観的な証拠があれば、未払い賃金として請求することにも協力できるとのこと。
以下、詳しくお話ししていきます。
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労働から解放されない限り休憩ではない
そもそもの前提である、「休憩とはなにか?」という疑問。
厚労省は以下のように示しています。
休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。従って、待機時間等のいわゆる手待時間は休憩に含まれません。
出典:厚生労働省
(略)昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。従って、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。
介護施設での夜勤に当てはめると、ちょっとヒマができたから動画みたり、twitter見たり…なんてのは、実は休憩ではないんですよね。
ナースコールやセンサーの反応があれば、すぐに訪室して対応しなくちゃいけませんからね。
しかし、現実的には、

空いてる時間に休憩してね。
ってことで、仮眠もとれない夜勤が発生してしまっているんですよね。
8時間を超える勤務に対しては最低1時間の休憩が義務
労働基準法34条1項には、【労働時間が8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなくてはならない】と書かれています。
介護施設や病院など、2交代の夜勤では拘束時間が16時間、17時間にも及びます。
なので、17時間の拘束なら休憩を最低1時間は取らせる義務があります。
逆に17時間も拘束して1時間の休憩でOKって法律おかしくね…? という話はいったん置いといて、とにかく休憩なしで夜勤をぶっ通しで勤務させることは完全に違法。
実際には介護施設ではよくある話で、私たちも「そういうもんでしょ」と納得してしまっているところもあります。
しかし、もう一度言いますが法律上は完全に違法です。
まずは、「ワンオペ夜勤でフロアに一晩中缶詰め」は違法であるということを認識しておきましょう。
会社に訴えて改善を求め、それでもダメなら労基に相談・申告しましょう。
介護の労働環境が悪いのは、私たち自身が改善あきらめてしまっているのも原因のひとつです。
未払い賃金請求のために、休憩できていない証拠を残そう
法律に則った適切な休憩が与えられていない場合に未払い賃金として請求することも可能だと説明を受けました。
さらに、弁護士を使うと費用がかかり、コストパフォーマンス的にも良くないので、労基が協力できる可能性もあるとのこと。
その際には、休憩が取れていないことの客観的な証拠が必要ということでした。
今回担当してくださった職員の方から教えていただいた、証拠となるモノを挙げます。
・PCのログイン履歴
・介護記録(ケアの時間と内容)
・実際に労働した記録(メモでもOK)
・同僚の証言
幸い、私が働く介護施設は記録類はすべてパソコンなので、行ったケアの記録を時間付きで残すのは簡単。
とはいえ、すべてのケア内容を打ち込んでいる時間もなかなかとれないので、できる範囲で残しておきましょう。
手書きの記録でもOKですし、個人的にメモ帳などに書き残しておくのも有効。
同僚の証言についても、みんな同じ環境で働いているので特に問題なく証言はもらえるのではないか、と思います。
こちら(労働者側)の示した証拠に対して、経営側が否定するための証拠を用意することはかなり難しいと思います。
なので普段から、記録をしっかり残す習慣をつけておきたいですよね。自分のためにも。
もし、休憩できていないことが証明できて、未払い賃金として2年分請求できれば結構デカい額になりますよね。
皮算用で計算してみましょうw(※実際にこの通りになるのかは不明)
・深夜労働で、時給換算1500円
・2時間休憩しているとして
・夜勤が月に5回
・時効である2年前から請求すると…
1500円×2時間×5回×24カ月=360,000円ですよw
ちょっとした退職金です。

おまけに、残った職員さんたちの働く環境も改善されて一石二鳥。弁護士さんに依頼してもいいんでしょうが、おそらく大半持ってかれます。
なので、客観的な証拠を残して、労基経由で支払ってもらった方がコスパがよさそうです。
ワンオペ夜勤の休憩で疑問なら労働基準監督署へ
ということで、労働基準監督署へうかがって相談してきたところ、的確で心強い言葉をいくつも頂けたのでシェアしたく記事にしました。
「労基は頼りにならない」なんて声を聞いたことがありましたが、実際に行ってみるとイメージと違いました。
また、プライバシーにも配慮しながら、私の個人情報を扱っていると感じられたことも好印象でした。
そして、今回はあくまで「相談」という形でしたが、会社に改善する態度が見られなければ「申告」を行い調査をしてもらう方向で考えています。
すでに会社には改善を求めて面談を行っているので、労基から調査が入れば私が通報したのはバレバレでしょうね。
そのあたりのバランスを考えると、退職の決意をした時点で行動を起こすしかないかなーとも思います。
できれば会社と争うようなことはしたくないので、改善へ向けて動いてもらえるとありがたいんですけどね…
※追記※
と、いうことで労働基準監督署の見解を踏まえて会社と話し合いを行いましたが改善の見込みがないため退職しました!そのお話はコチラ>>ワンオペ夜勤が仮眠もとれない奴隷労働なので介護職を辞めました。
ワンオペ夜勤が仮眠もとれない奴隷労働なので介護職を辞めました。
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