
どうも、ド田舎介護士の森まる(@820life)です。
夜勤明けでぼんやりしております。というのも、センサーがピンポン、ピンポンとなり続けて結局ほとんど眠れなかったのです…
最近つくづく思うのですが、介護施設にセンサー多すぎじゃないですか?ということ。
現在私がいる施設では20名に対して、増減はありますが5から10名の方に設置されています。
しかも寝返りや、布団を直す時にもセンサーが反応する状態。どのコールが緊急性が高いのか、もはやわからないという状態でして…
たしかにセンサーを活用することで転倒を未然に防げる場合もあります。
しかし、あまりに数が多いと結局対応できないばかりか目の前の利用者さんにゆっくりとケアすることも難しい状況が生まれてしまっています。
ということで、今回はセンサー使用に関しての現場での問題点をお話ししていきたいと思います。
Contents
離床センサー・センサーマットは必要ではある。
ベッドや椅子から起き上がればナースコールが鳴ったり、ある地点を通過すると反応するセンサーマット。
これらのおかげで、
・目の届かないところで、トイレに行って転倒する。
・夜間、ベッドから降りようとして転落する。
という事故の多くを防ぐことができているのは事実です。
センサーマットや離床センサーが多用される背景
現在、介護施設では身体拘束に関してとても厳しく言われるようになっています。いくつか例を挙げると、
- 高齢者の行動を制限してはいけない
- 降りられないようにベッドを柵で囲ってはいけない
- ベッドと壁を密着させて設置してはいけない
細かいところは各事業所で異なりますが、「行動の制限」を禁止していこうという流れは共通しています。
そんな拘束が許されない状況のなかで「安全」を確保していくために、介護現場ではセンサーをバンバンいれている状態です。
そうすれば、理論的には利用者さんが転倒や転落につながる危険な行動を起こそうとすれば、コールが鳴り職員がかけつけて事故を未然に防ごうということです。
離床センサーなどを安易に設置する弊害
しかし、手軽に導入できるので「センサー付けとけば安心」という安易な設置が起こってしまいがちです。
その結果、センサーに反応してナースコールがあっちこっちで鳴り響き、職員が走り回ることになってしまって、目の前の利用者さんにゆっくりと接することができないという状況も生まれています。
また、2人3人のセンサーが同時になることも普通に起こります。介護施設の夜勤では1人で行う現場も多いため、急いで駆けつけるべき利用者さんの「優先順位」を決めなくてはいけない状況が生まれてしまいます。
センサーの感度の設定にも幅があり、大急ぎで駆け付けたけど「寝返りをしただけ」みたいなケースも多々発生します。
その間に別の利用者が転倒している、というセンサーに振り回されてしまう状態もわりと発生しています。
離床センサーによる弊害・実例
センサー類を安易に設置しすぎることで起こる弊害の実例をいくつか挙げてみたいと思います。
さきほども少しお話ししましたが、センサーの数が多すぎて結局対応できていない状況があります。
たとえば、Aさんのセンサーが反応したので駆けつけます。
トイレに行くとのことで、転倒リスクがあるので付き添います。付き添い中にBさんのセンサーに反応あり。しかし、トイレに行って帰ってくるのには数分はかかります。
トイレ後にBさんを見に行くけど時すでに遅しで転倒。
外傷がないか確認したり、バイタルの測定、ナースへの連絡の必要性も出てきますが、その間にも離床センサーは鳴ります。
その方への対応も遅れるわけにはいかないが、転倒直後のBさんを放置するわけにもいかない…
体はひとつしかないのでセンサーがいくつあっても結局対応できないんですよね。
基本的には初めにケアに入った利用者さんを最後までお世話するのが正しいと言われています。
しかし、転倒リスクの高いかたのセンサーに反応があれば事故を防ぐために駆けつけるのが「安全第一」という観点からは正解です。
では、おむつ交換中にセンサーが鳴ればどうでしょうか?
例えば便が出ていて処理に時間がかかりそうな時。1人夜勤であれば、いったんオムツ交換を中断して、様子を見にいくのではないでしょうか?
交換途中で放置された利用者さんの気持ちはどうなるのでしょう。寝たきりの方であれば文句を言うこともなく、静かにそのまま待っていただけるでしょう。
でも、それって「利用者さんの尊厳」を考えると疑問ですよね。
かと言って転倒の可能性のある方を放っておけば事故で重大な結果になり、最悪訴訟になります。
>>>利用者転倒で介護施設に損害賠償命令【現場無視】
いずれのケースも人手があればいいのですが、そこは厚労省の基準に沿った人員配置をしているので、それ以上を求めても経営者としてはOKすることはないでしょう。
それでも訴訟で施設が負けるのですから、一体どうすれば良いのでしょう?
センサーを置くだけでは不十分
夜勤中は巡回やオムツ交換などで「すぐさま対応できない」状態になる時間帯も多いわけで、離床センサーが反応しても対応が遅れがちです。
かといって初動をキャッチしようとセンサーの感度を上げ過ぎると、今度は仕事が進まないという問題があります。
という感じでセンサーを置いても事故は防ぎきれないし、安全優先で他の利用者さんに対しては細切れの不十分なケアを提供することになってしまっているわけです。
すぐには訪室できないことに対してできることは「転倒しにくい環境づくり」と、最悪転倒しても「ダメージを軽減する環境づくり」ですね。
例えば、
・床にマットを敷く
・タンスなどの角にはクッションをつける
・手すりをセットする
・伝い歩きしやすいように家具を配置する
といった取り組みを行うとともに、本当にこの方にセンサーが必要なのか?ということを見極めるために普段からの観察が重要です。
家庭に置くにはとてもいいものだと思いますけどね、センサーマット。相手が1対複数になった途端あまり意味がなくなるわけで。
「安全」と「拘束」は永遠のテーマですね。答えがあれば教えてください。
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