
どうも、ド田舎介護士の森まる(@820life)です。
いきなり暑くなりましたが、朝晩は思いのほか冷えますね。こういう時期は腰痛が発生しやすいので要注意です。
今日も施設で一人の介護士が腰痛のために早退していきました。しかし、そういうツライ時こそ支えあってカバーしてあげたいですね。
という自分もおっさんの仲間入りをして、日々体力の衰えを感じているので自分もしんどい時は支えられたいという希望の裏返しだったりします。
と、のっけから脱線してますが本日の話題は『虐待をしたくてやってる人はいない』という話です。
※一応断っておきますが、虐待を擁護するための記事ではなく、さまざまな理由により精神的に追い込まれてコントロールを失ってしまうという介護現場の問題点について指摘したいために記事にしています。
Contents
まずは高齢者に対する虐待とはなんぞや、というところからです。介護現場で働いている方にとっては耳タコだと思うので飛ばして頂いてOKです。
高齢者に対する虐待は5つの種類に分けられています。
① 身体的虐待
② 心理的虐待
③ 性的虐待
④ 経済的虐待
⑤ 介護放棄(ネグレクト=無視・放棄)
それぞれの詳しい説明は『5つの高齢者虐待を解説&介護現場で気をつけること』で説明しますが、今回の記事で扱うのは①の身体的虐待です。
身体的虐待とは、よくニュースになる暴力事件です。文字通り、身体に対する虐待であり、「殴る、蹴る」などが代表的なものです。
そして、この身体的虐待が最も多く発生しており、全体の6割を超えています。
では、なぜ虐待(身体的虐待)は発生してしまうのか?
普通に考えて高齢者に対して暴力を振るうという、「まったくメリットのないことを行う意味がない」と誰もが思います。
テレビのニュースでも職員による暴行が大きく報じられ、「人としてあるまじき行為!」のように言われています。
たしかに、結果として行われた行為は罰せられるべきで、わたしたちの身内がそのような目にあえば決して加害者を許せるものではありません。
しかし、実際に介護施設で働いてきた身として、介護保険と厚労省の行う取り決めに欠陥があり、過大なストレスを引き起こしているという側面もあることをお伝えしたいのです。
ナースコールが鳴れば介護職員としては要件を伺いに行く義務があります。
なかにはナースコールをおもちゃのように押し続ける利用者さんもいます。そんな方でもコールを外すこと自体が介護放棄=虐待であると決められています。
しかし、意識がはっきりとしており自分の意思が明確な方と、認知症などで見当識を失ってしまった方をまとめて同じルールを適用することに無理があります。
夜勤の時などは職員の数も減り、一人で数十人を見ることも普通です。そんな状況でナースコールに振り回されていればストレスが爆発してしまうのも理解できるのではないでしょうか?
そして、振り回されている間に本当に重要なナースコールへの対応が遅れてしまい利用者さんがケガをすることで責任問題に発展することもあります。
入所利用者3人につき職員1人を配置しなくてはならないという「3:1」のルールがあります。たしかにそれぐらい職員がいればゆとりを持って対応できそうですよね。
しかし、実はその基準はあくまでも雇用している職員の数の話です。つまり、利用者40名に対して当日出勤者が13名という状態はあり得ないのです。
現実は、多くても6~7人の施設が多いのではないでしょうか?なので到底豊かな介護には及ばない現実があります。
また、夜勤はまったくの1人で行うこともあり休憩も取れないことも。

そのような状況にも関わらず、介護ロボットやセンサーなどを活用して人員配置基準の緩和を検討しているとの報道もあり、さらに悪い状況が生まれてくる予感もあります。
たしかに人材不足は深刻化する一方なので、人手不足倒産を避けるということは必要ですが、まずは現実に過大な負担を強いているルールを変えることを優先するべきです。
最近になってようやく報道されていますが、利用者さんからの暴力・暴言・セクハラなどは日常茶飯事です。
わたし自身も、顔面をグーで殴られたり唾をかけられたりは普通に体験しています。
ひどい話ではナイフで切り付けられた職員も。
そんな経験はSNSをのぞけばいくらでも転がってますし珍しくもありません。そんな状況でも大多数の介護職は抵抗もせずにケアを提供しているのですから、そのあたりを今以上にもっと深く報道してもらいたいものです。
すべては紹介しきれませんが、人間が感情を失ってしまうような環境がそろっていることが伝えられたかな、と思います。
もちろん、なかには人間的に問題があり暴力的な職員も存在します。しかし、初めにお話ししたように高齢者を虐待しても基本的に得るものはないのです。
感情をコントロールできなくさせるような状況が、虐待を生み出してしまっている事実を知って頂ければと思います。
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