
ちょっと手抜いたら庭が草まみれ。この時期の草木の成長やばすぎ。どうも、ド田舎介護士の森まる(@820life)です。
最近介護施設での虐待のニュースが続いて、当ブログでもいまさらながら虐待についての記事を書いていました。そのなかで、厚生労働省の虐待についての資料を見てたら勉強になる数字が出てきたので紹介していきます。
結論としては、家族介護はかなりしんどいので虐待を行ってしまう前にレスパイトケア(介護者の休息)を使いましょう、というお話です。
Contents
虐待の97%は家族などが行ってしまっている事実
論より証拠、まずは数字をどうぞ。

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000196989_00001.html
割合に直すと、家族や同居人による虐待が全体の97%という、割とショックな数字でした。
介護職による虐待は大きなニュースになるので、「老人ホームって怖いとこね」という話になりがちです。
しかし、現実は家族や同居人による虐待件数の方が圧倒的に多いのです。
虐待の定義についてはコチラを確認してください。5つの高齢者虐待を解説&介護現場で気をつけること。
在宅で過ごす高齢者の方が圧倒的に多いのも事実
ただ、上記のデータに欠けている視点は「施設で過ごす高齢者の人数と、家で過ごす高齢者の数がわからない」ということです。
調べましたが、うまく数字を見つけられませんでした。
とりあえず参考になりそうなものとして、厚生労働省の「介護保険事業状況報告の概要 (平成29年12月暫定版)※PDF」からデータを引用します。
・第1号被保険者数は、3,475万人
・要介護(要支援)認定者数は、641.9万人
・施設サービス受給者数は、93.4万人
・居宅(介護予防)サービス受給者数は、376.0万人
・地域密着型(介護予防)サービス受給者数は、84.6万人
数字がたくさんでややこしいですね。
重要なポイントは、
「高齢者3475万人のうち、施設に入所しているのはわずか93.4万人」ということです。
家で過ごしている高齢者の正確な数は結局わかりませんが、施設で暮らす高齢者は全体の一部であることは理解して頂けたかと思います。
ただ、地域密着型サービスにもグループホームや小規模多機能といった入所のようなサービスがあるのでさらにややこしい…
超簡易的に虐待発生率を計算すると…
色々と数字が出てきたので簡易的に「虐待発生率(平成29年)」を計算してみました。
施設での虐待発生率:
510件÷93.4万人×100≒0.05%
在宅での発生率:
17,078件÷(3,475万人-93.4万人)×100≒0.05%
仮にすべての高齢者から施設入所の方を引いた数を在宅生活者として計算すると、虐待が発生する確率は、ともに約0.05%となりました。
しかし、もちろん元気で自立した生活を送っている高齢者も多くいらっしゃるので分母を要介護の方に限定すると以下のようになります。
要介護者に限定した場合の在宅での虐待率:
17,078件÷(641.9万人-93.4万人)×100≒0.3%
計算をまとめると、以下のようになります。
・施設では2000人に1人が虐待されている
・在宅では2000~333人に1人が虐待されている
元となる数字が正確とは言えませんが、少なくとも私たちが持つ印象ほど施設での虐待は多くないということが見えてきませんか?
在宅での家族介護はつらくて当然
在宅での家族介護はツライという現状が数字からみえてきました。
私も介護を仕事にしているのですごくよく理解できます。
介護士はあくまでも仕事。見返りとして給料があるうえに、他人だから徘徊にも付き添えるし、多少の暴言も割り切って対処することができています。
しかし、家族で行う介護は、家族だからこそ余計に腹が立つし、認知症などの「病気」を理解しようとしても気持ちが追い付かないんですよね。
それまでの関係性や家族の歴史も介護者の心に大きく影響しますし。
介護サービスの利用に罪悪感を感じる必要はない
データからも見えてきたように、在宅での介護の方が虐待が発生しやすいので「精神的にツライ」と感じたら罪悪感を感じずに介護サービスを利用するべきです。
デイサービスや、訪問介護、住宅の改修など、介護を行う家族の負担を減らすサービスはたくさんあります。
最終的には施設への入所も必要になるかもしれません。年齢とともに、身体機能が衰えるのは自然なことです。
無理せず、利用できるものは利用していきましょ。
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